山岳登攀ノ図 その二十七

2005.7.30 小川山クレージージャム

めったに行かない小川山に宿題を残したくないので,これまで(といっても3回しか来たことがない) 特にルートを狙っていったことはなかった。

けど,クレージージャムは以前から登りたいと思っていたし,いつまで美味しいところを取っておいても 「じいさんになっちまう」だけなので,今回は登ってみることにした。

寝不足で体は重い。しかし,明日は雨の予報。今日中にこれ1本は登ろうと若いこーへーちゃんと取り付きに 行ってみるとすでに1パーティーが取り付いていて,順番待ちのパーティーもいた。

登っているクライマーを見ると,どっかで見たことがある。大きなトライカムをぶら下げ,かなりランナウト しながらクライムダウンも交え,粘っている。登り終えロワーダウンしてきたその人の顔をみると,われめの会の東川さん。 トライカムでのリードにトライしていたのであった。

話を伺うと,ちょっと危なかったので無理せずカムも使ったとのこと。こだわりを持ってクライミングを実践する 姿勢に頭が下がった。わしはといえば単なるミーハークライミングである。

パッシブプロテクションの話題では,1998年に小川山に来たヘンリーバーバーがヘキセンだけでクレージージャム やカサブランカをオンサイトしている。山渓では変わったおじさん外人クライマーみたいな感じでトピックスとして 記事になり,ワルテル氏などはあの神様のようなバーバー氏をなんと心得おるとお怒りであった。

さらに最近,文部科学省登山研修所に行く機会があり,講師の方々と話をしていて,すごい話を聞いてしまった。 御在所中尾根バットレスの開拓とその際のボルト騒ぎですでに伝説の人となっているキム師のお話。

クレージージャムが開拓されて間もないころのことだと思う。知り合いからこの素晴らしいクラックの話を聞いて 小川山へやってきた彼はカムはおろかヘキセンも持っていなかった。それでしかたがないから石ころをポケットに 何個か入れて登り,クラックに放りこんでチョックストンにしてスリングを掛け,ものすごいランナウトでリード したそうだ。もう一つの神話がここにある。

最後に,わしの結果と言えば,他のクライマーが登るのを観賞する誘惑に勝てずオンサイトはできなかったが(半日も 後ろ向きでいることは不可能),フラッシングできたので,宿題は残さずにすんだ。

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               リードするこーへーちゃん。