西坊主への道(1)
甲斐駒尾白川滑滝沢
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― 明るく開け500メートル以上に及ぶ登攀が続くこの沢は尾白川へ向けて一気に落下し,全体の傾斜はそれほどでもないが高度感があり落ちることはゆるされない。この地を訪れようとするクライマーは全員が洗練されたピオレトラクション技術を持っていなければならない。「広川健太郎編 アイスクライミング 尾白川西坊主ノ沢(川面長司執筆)」―

小林君は鮎沢さんや川面さんからこの沢のすばらしさを以前から聞いていており,私もガイドブックなどを見てぜひこう言うスケールの大きいアイスクライミングをやってみたいと思っていたので,西坊主行きの話はすぐ決まりました。しかしこの計画が実現するまでにこんなに時間がかかるなんて,最初は考えていなかったのです・・・

1988年1月15日〜17日
メンバー 石際,小林

1日目
竹宇神社から黒戸尾根を登り5合目の非難小屋昼過ぎに着く。小雪が降りだし。小林も風邪ぎみで,今日はここで様子見とする。

竹宇神社9:00 5合目13:30

2日目
5合目から黄蓮谷の岩小屋に降り,少し下降して二又に着く。 今日は快晴であるが,いまいち気合が入らず,取り付きやすい滑滝沢を登ることにする。途中西坊主ノ沢の出合から天まで突き上げるような西坊主の全景が目に入る。「すげ―・・・・・・」次は絶対登るぞと誓い滑滝沢に向かう。
滑滝沢は快適の一語。最大でも60°までの傾斜で350m氷の滑り台が続き,駆け登る。終了してから2H坊主中尾根を登り,ダケカンバの陰でビバークする。

5合目6:15 黄蓮谷岩小屋7:05 二又7:45 滑滝沢出合11:00 登攀開始11:30 終了16:00 ビバーク地18:00

  滑滝沢全景
滑滝沢全景


  中間部の登攀。
中間部


  上部の快適な氷のなめ
上部の快適な氷の滑


  ビバーク地の朝。
ビバーク地の朝

3日目
今日も快晴。結構冷え込んだ。坊主中尾根を詰め甲斐駒のピークを踏み黒戸尾根を下山。西坊主は登れなかったが尾白川の概念もつかめ充実した山行であった。

ビバーク地7:15 北山稜8:15 甲斐駒9:15 発9:45 竹宇神社14:20

  坊主中尾根を行く
坊主中尾根

参考装備 9mm×50mロープ1本,アイスハーケン6本,EPIボンベ1本(2L水汲んで2泊3日ぎりぎり),ツエルト