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―― 幽 閉 ――

 

(その1)

わしの耳はよく耳垢が出る

あまり取るとよくないらしいので,かってに出てくるに任せている

(ぽろっとか出てくると恥ずかしいが)

 

たまに耳掃除をしてもらうと,時に感動的なほど大きなのが取れることがある

そのせいか,自分のはやらせないくせにうちの奥さんはわしの耳掃除をしたがる

 

先日もやってもらっていたら,

「おとうさん。なんかへんなもんがあるけど,あまり奥やでやめとくわ。」

といったので,気になって自分でやってみると,奥のほうでかさこそ音がする

しばらくしてゴソッと黒い何かがこぼれ落ちた

 

よく見てみると,小さな蜂である

そういえば昨年の夏,沢登りをしていて耳に虫が飛び込んできたことがあった

耳の中で暴れまわるので明るいほうに耳を向けたり,振ってみたり,

跳んでみたりしたが出てこず,そのうち大人しくなったので忘れてしまっていた

 

蜂って後退できないのだろうか?

暗く狭い穴のなかで不慮の死を遂げた虫に・・・合掌

 

2005.3.29記

 

(その2)

普段あまり着ない背広を出してみたらカラメルのお菓子みたいなものが脇の少し下にくっついていた

よく見てみるとカマキリの卵に似ている

さらによく観察すると,なんと,蟻んこのように小さな虫の屍骸が干からびてそこらじゅうにくっついている

 

背広カバーの中を見ていたうちの奥さんが「ぎゃー」

干からびた大人のカマキリがぽろり

「これはコカマキリや」と息子

 

暗いたんすのなかでがんばって卵を産んだのだね,お母さんカマキリ

残念な結果に終わりはしたが

 

関係ないが昨夜宿直しながら見た「リング」より怖かった

 

2005.6.19記

 

(その3)

「山椒魚は悲しんだ。」で始まる井伏鱒二の「山椒魚」という短編は,国語の教科書にも載ったりしてよく知られており,井伏の代表作の一つとされている。

この短編が大正12年(井伏25歳)に同人雑誌「世紀」に発表されたとき,題名は「幽閉」とされていた。

それが,昭和4年5月(31歳)に書き改められ「山椒魚」として「文芸都市」に発表されたのである。

 

「山椒魚」に改題されても,穴に閉じ込められた状況でいがみあった山椒魚と蛙が最後には和解するという結末は初稿と同じであったが,この部分は井伏の晩年に改稿され短編の意味が大きく変えられた。この改稿についてはいろいろ議論があるらしい。

 

最終版を探して読んでみたいと思う。

 

 

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