――― 思い出す人のこと  ――

自転車で通勤しているとき
飯を食っているとき
思い出すのは死んでしまった何人かの友のこと

酒が好きで,岩を登るとき酒飲んで「体が柔らかくなったー」と言っていたやつ
一人で黙々とトレーニングしていたやつ
山を止めようとしたとき電話してくれたやつ
死んでから,そんなすごいやつだったかと見直したやつ

山岳会について酒を飲んで語り合ったやつ
「自称スキー1級」と言っていたやつ
国体に行く前に体力テストをして「やや劣る」の結果にショックをうけていたやつ
越百山の頂上にあったペットボトルの道標を放り投げたわしを見て驚いていた

「そんな仕事面白い?」と訊いたやつ
面白くもないが,食うためだ

「岩登りなんか止めてキノコうどん食えや」
結局イブから降り,酒を買いに行き2人で1升飲んでしまった
小屋でひっそり骨となった屏風山のおじさん

思い出すとき,あなたたちは今もそこにいる
わしのことを思い出してくれる人はいるだろうか

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