――― ボッカ ――
ある晩秋の日曜日,午前中は町内の清掃と家の用事のため山へ行け
なかったので,午後のちょっとできた時間を使って金華山へボッカに行
くことにした。
坊主も暇そうにしていたので,連れて行く。
使わなくなったロープやガチャ,最後にはダンベルなどを
古いザックに押し込んで計ってみると,重量は30kgちょっとになった。
このぐらいではボッカと言わないかも。
岩戸公園から東坂登山道を登り,お城の下の階段を登るころには
結構,肩に食い込んできて,つらかった。
お城の前のベンチに2人で腰かけ,お菓子など食べて休憩する。
最近は荷物を背負って歩くことも減って,たまにやるボッカでは根性を
付ける意味しかないが,冬山に入る前にやっておかないと,なんかやり
残したことがあるような気がして,11月,12月の恒例行事にしている。
最近のクライマーもボッカをするのだろうか。
昔は山岳会でボッカ訓練が行われ,合宿に入るメンバーは強制された
ものだ。この一見ばかばかしい苦行も,やった後一種の達成感があり,
マラソンを走った後のすがすがしい気分と似たものがある。
下山の途中で,ピーナッツを手に乗せて口笛を吹くと,ヤマガラが近く
まで寄ってきて,観察できた。
登山道脇にクリタケが生えているのを坊主が目敏く見つけ,採って帰り,
キノコ鍋にした。
金華山は近くて楽しい山だ。
家族でハイキングに行くときも,要らない物をザックに一杯突っ込んで
行ったりする。
家族と楽しむときぐらい,それに集中すればいいのに。悪い親父である。