甲斐駒ケ岳尾白川坊主岩北東壁正面ルンゼ
―アプローチを中心に―
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2002年12月28日〜30日
石際,加藤

1日目
竹宇駒ケ岳神社から歩き始める。横手からの登山道の合流点から少し登ると単独行の登山者に追いつく。ここからラッセルとなりスピードが上がらない。7時間かかって5合目に着く。
昔,尾白川へ行ったとき,千丈ノ岩小屋へ降りたことがあったのだが,下降路についてはもう忘れてしまっていたので,登山大系の概念図から判断し小屋のすぐ下の支尾根を下る。
すぐに尾根は五丈ノ沢に消えてしまいそのまま沢を下る。雪は安定しているので,雪崩の危険は感じなかった。岩小屋に着くと誰もいなかった。

竹宇駒ケ岳神社7:30 分岐9:40 5合目14:30 岩小屋15:30

下降路


2日目
ヘッドランプを点けて黄蓮谷を下降する。予想どうりというか,谷筋には雪が多い。二俣すぐ上の滝は右岸を懸垂下降する。
この時点ではいいペースかなと思ったが,尾白川本谷に入り倒木の上の不安定な雪や,締まっているかと思うとズボッと股まで潜る中途半端なクラストにエネルギーと登攀意欲を吸い取られ,北坊主手前でタイムアウトとなった。

敗退の図


ちょっとは氷に触りたかったので,少し戻り北坊主岩北東壁下部正面ルンゼF1を登る。50mで下部は傾斜が緩いが不安定で薄い氷壁。上部2mは垂直で,出口でピックを刺した穴からピューと噴水が飛び出すというハプニングもあり,結構のぼり応えがあった。

正面ルンゼF1



岩小屋に戻ると,今日も貸切であった。

概念図

正面ルンゼ


岩小屋5:00 二俣6:40 正面尾根を回りこんだ地点9:50 正面ルンゼ11:00〜13:00 岩小屋16:00

3日目
岩小屋を出て少し登ると,黄蓮谷右俣を登る2人組が降りて来た。帰りは赤布に従い一般路を登る。黒戸尾根はハイウエイのようなトレースがあり,あっという間に登山口へ。

シャルマンワインの工場に寄り試飲を何杯もいただき,結局1升ワインを買って帰った。(試飲の意味ねぇ〜)

岩小屋7:20 5合目8:40〜9:00 神社12:00

その後,山岳同人「カルパッチョ」 の羽矢さんから坊主のアプローチについて問い合わせがあり,10年前尾白川林道からアプローチしたときの記録を引っ張り出してきたので,参考までに併せて掲載します。

(お答え)
ずいぶん前ですが,年末に尾白川林道から入ったことがあります。
その時は林道が雪のため途中までしか入れず,朝8時に歩き始め9時半に林道終点着。
そこから尾白川へ降りて,黒戸北沢の出合いに12時半でした。
メンバーの一人が体調不良のためここで引き返しました。
この時はけっこう積雪があったと思いますが,渡渉とか高巻き自体は悪い所もなく問題ありませんでした。
黒戸北沢から千丈の岩小屋まで2時間として6時間半のアプローチになりますね。

この年末には黒戸尾根から入りましたが,黒戸尾根がラッセルだったこともあり, 登山口から5合目まで7時間,下降1時間,計8時間もかかってしまいました。
このときの下降は雪が安定していたので五丈ノ沢を降りました。
滝も出ていなく楽でした。
正規の下降路は小屋の裏からかなり長くトラバースしてから下降する旧道で,トラバース部分には赤布が少ないので注意が要ります。
尾根の下降は途中2〜3箇所岩場が出てきますが右から巻けます。

どちらを取るかは,林道の状況と,黒戸尾根のトレースをあてにできるかによると思います。
あと,今までアイスクライミングの時はワカンを使うことを考えたことがなかったのですが,ラッセルがきつそうな時とか同ルート下降でデポできるときなどは,ワカンがあるとかなりスピードが違ってくると思いました。

尾白川下部アプローチ図
下部