黒部川上の廊下
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1993年8月11日〜14日
川地 努,石際

8月11日(曇り時々雨)
扇沢始発は7:30であったが,雨のため1本遅らせる。黒部ダムに着いても雨やまず。仕方がないので歩く。平の渡し手前で特大のマツタケを収穫。タマゴタケも多い。

平小屋で雨上がる。ここで渡し舟1時間半の待ち合わせ。東沢出合にテントを張り,竿を出してみる。泣尺岩魚を1つ掛ける。

黒部川は増水し濁っている。奥黒部ヒュッテのご主人にいろいろ情報をいただく。この状況では明日も厳しい遡行になりそうである。マツタケご飯と岩魚のムニエルでグルメな初日となった。

黒部ダム8:30 平の渡し11:00〜12:30 東沢出合14:00

8月12日(晴れ)
早朝に出発するが,まだ水温が上がらず,腰までの徒渉の連続で体がこわばってしまった。平水より10cmほど水位が高い。腰あたりの徒渉でこの差は大きい(後に登場する高桑信一氏もその遡行記で書いている。)。

冷えた体をお日様で温める
日向ぼっこ

下の黒ビンガ入口は泳いで突破。もう少しで流されそうになる。川地はロープで引き上げる。中間のゴルジュは手前の雪渓のある谷から左岸を大きく巻けるようであるが,泳いで突破を試みる。水流強く押し戻され,左岸に泳いで渡り,ルンゼ状の壁に取り付いて巻く。

この徒渉でロープ操作がまずくもたもたしていると,黒いタイツとシャツで上下を固めた,いかにも沢なれた感じの年配の2人組みが,抜き手も鮮やかに泳ぎ壁を攀じて我々を抜かしていくのを見る。

実は我々は泳ぎの入るような大きな沢は初めてなのである。川地はかなりビビッていたが,石際はためらいもなく(ただ怖さを知らないだけかも)どんどん飛び込むので,川地は見ていて心配だったそうである。

大河原を過ぎ,上の黒ビンガに入る。スクラム組んでの渡渉やロープワークにも慣れてきて調子が出てくる。このあたりから,浦和浪漫の高桑氏パーティーと前後しながら遡行する。

どこかで見たことがある顔だなと思って,その3人パーティーを観察する。山屋らしくなく,スナックのママの雰囲気を漂わせ,徒渉の前にタバコをくゆらす女性を男2人がエスコートして遡行していくのは,不思議な感じがした。

上の黒ビンガ左岸の滝
美漠

金作谷出合の台地でビバークとする。竿を出したが先行者がいてダメだった。

東沢出合5:40 黒五河原14:00 金作谷出合17:00

8月13日(晴れ,夕方から雨)
今日は日が昇るのを待って出発。徒渉にも慣れ,水量も減ってきたので,どんどん水際を進む。ほとんど巻かずに遡行できた。B沢あたりまで来ると後はのんびり遡行するだけである。昨日の2人パーティーに今日は早いなと言われ気をよくする。

どこか忘れました

薬師沢を過ぎ,ほんとはダメなのだが赤木沢手前の左岸の砂地でビバークする。釣師が多い。夜雨が降り出す。

金作谷出合7:00 B沢13:00 薬師沢14:30 赤木沢手前15:30

8月14日(雨のち晴れ)
朝起きてみると増水し,テントのすぐ脇まで水が来ている。遡行はあきらめ,薬師沢まで戻ることにする。谷どおしは無理なので,左岸の樹林帯を進む。途中,湿原があり水芭蕉の群生があったり,広い笹原があったりして面白かった。

登山道に出て,太郎平に向かう。川地ばてる。折立に着き,14:00の富山直通バスに間に合った。富山で川地の腹の具合が悪くなり,1人でビールを買い込んで自由席特急に乗り込んだ。

赤木沢手前7:30 登山道9:00 太郎平10:00 折立12:15