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――錫杖岳烏帽子岩前衛フェース「体臭のカーニバル」開拓――

 

〜開拓記録〜

2001/9/17〜23  横山勝丘(22) 佐藤祐樹(20)

9/17  入山 1・2P目登攀 3P目途中までFIXして下降

  18  3・4P目登攀 FIXして下降

  19  5P目登攀 FIXして下降

  20  休養日 1P目終了点でビバーク

  21  5〜7P目登攀 終了点でビバーク

  22  白壁ルートを下降 休養

  23  錫杖岳本峰ハイキング 下山

 

「体臭のカーニバル」

230m,7ピッチ,4級+,A3,1〜2日]

ルートは北沢フェースのルンゼを箱型ハングまで上がり、そこからはおおむね白壁の左端部分を登る。ルートの大部分は白壁カンテルートと交差、平行しているが、3P目以降は前進用、プロテクション用にそのボルトは一切使っていない。従って再登にあたっては残置のボルトはビレイ点以外、一切使用しないスタイルを再登としたい。

 

考えていたライン上にボルトがあったのはいささか残念だが、ルートを作るとしたらこのラインしかないと考えていた(カッコいいし、難しそうなので)ので、ボルトに触れさえしなければよいと思い、開拓を進めた。ルートの独立性はないが、面白さ、難しさは損なわれることはないと思う。

なお、ルート上にコパーヘッド等をいくつか残置した。これらの残置は使用していただいて構わないが、必要ないと思われれば引っこ抜いてもらって構わない。

 

1P目(45m,4級+ A1)

広場のど真ん中を突っ切るルンゼを登る。左方カンテの一つ右。最初の10mはノーロープで左上するランぺを登り、立木から始める。ランぺからフェースを人工。ルンゼの抜け口が少しいやらしい。ルンゼは濡れていて快適ではない。頭上の終了点まで来れば後は簡単なルンゼから階段状のフェースとなり、大テラスにつく。白壁ルートと同じラインである。

 

2P目(25m,4級+)

1P目より続くルンゼを直上。簡単。なかなか面白い。箱型ハング下のピトンが打たれた終了点まで。なお、大テラスからフェースを直上するのは白壁ルートだが、がおろさんの言うとおり、ここのフェースは面白い。是非一度お試しあれ。

 

3P目(25m,4級+ A2)

ここより先、ビレイ点以外に残置のボルト、ピトンは使用禁止。

ハングに向かってフェースを4mほど登る。ハングにカムを決めたら左端からハングをかすめて越える。ここのクラックは、いたって快適。最後フレークが終わるところから、最初は右上の赤い岩の浅い凹角に嫌らしいフリーで移ったが、この凹角はあまりにもクラックが浅く、あえなく戻るはめになった。フレーク左の10cmほどの岩棚に移り、そこから頭上のハングの切れ目に向かってフック2回で直上。

 

ハング右端のクラックを右上し、クラックが途切れたところからボルトは直上するが、小ハング下を右の赤い岩の浅い凹角に移る。ここから凹角をもう一つ上のハングに向かって直上するが、クラックは浅いので注意。ここにコパーヘッドを一つ残置。やがて凹角はハングに吸収され、ハングを左にトラバースする。ここはエイドだが、水平オフウィドゥスを登っているような感じでフリーの要素があり、要注意。奥にカムを決めるのが難しい。キャメロット#4が必要。

 

トラバースしたところは綺麗なコーナークラックの走ったランぺである。ここでボルトは途切れるが、最後のボルトとカムでビレイ点にする。なお、10m上のビレイ点まで伸ばすことも出来るが、流れが悪いのでここで切った方がよいだろう。

エイドの中にフリーの要素があり、面白いピッチ。

 

4P目(10m、A1)

非常に快適なピッチ。すぐ上のビレイ点までだが、なかなか楽しめる。既成のビレイ点まで上がると既に凄い高度感である。

 

5P目(25m,A3)

出だしは、ビレイ点左壁にある、一目瞭然の簡単なフック。ルート中最高の高度感が味わえる。日本一のフックムーブであるとみた!左のカンテ上にある浅い凹角に入ってゆくがここからが悪い。一本良く決まっているナイフブレードから、コパー、ラープ、バードビーク、スモールナッツ、バードビーク、コパーときた後に、浅い窪みにフックをかけてようやくカムが決まる。ここから顕著なV角に入ってゆく。

 

V角は徐々にクラックが細くなり、ブランクダイヒードラル(クラックの走っていない凹角)となる。また、傾斜が強くて掃き出されそうになる。すぐそばにはボルトが連打されており、思わず使いたくなってしまうが、我慢我慢。ラープからコパーの連打となり、ビレイ点に着く。このピッチに5時間もかかってしまった。

 

リングボルトが2本打ってあるのがビレイ点である。1本は古いもので、もう1本新しく打った。ちょうど、白壁のど真ん中にあるハングのすぐ左である。思い切りハンギングとなり、快適ではない。このピッチはルート中のハイライト。岩は非常に固く、また、綺麗に走った凹角や高度感など、ヨセミテを思わせる。ボルトが走っているのがたまにきずだが。

 

6P目(25m,A3)

ボルトは左に伸びているが、ルートは真上の凹角である。この凹角は、3本並んでおり、わかりやすい。出だしロストアローを打つが、そこから上部に見える水平クラックまではいやらしい。コパーの連打でじっくり進む。水平クラック下にコパーヘッドを3本残置した。水平クラックは非常に快適で、ここを左にトラバースするとすぐに、白壁カンテルートと交差するが、そのまま左にトラバースしてゆく。クラックが途切れたら上のクラックに移り、さらに左トラバースして、凹角下にRCCとリングのビレイ点を作った。ここまで来ると幾分傾斜が弱くなる。流れが悪いので要注意。

 

7P目(35m,4級+ A1+)

出だしの凹角から真上のフェースを登り、岩を一段越す。ここから右に見える右上するクラックを目指す。クラックは泥が詰まっているが、掃除すればフリーも可能だろう。クラックを登り、最後は白壁カンテルートと合流するように樹林帯に突入。4mほど行くとしっかりとした立木がある。

ここから樹林帯を奥の岩壁に向かって漕いでゆくと、岩壁下のテラスに出る。

 

この岩壁は、小川山のようにすっきりとした花崗岩のフェースで、非常に面白そうだ。時間があればここも登りたかったが・・。ここから右の際をトラバースすると、白壁ルートの終了点である立木に出る。このトラバースは意外といやらしく、落ちたら助からないのでビレイしていった方がよい。

後は白壁ルートなり1ルンゼなりを懸垂して下山する。

 

  最後に、このルートはそれなりに楽しめると思う。グレイドもまずまずだし、岩の硬さや傾斜、ロケーションなどは最高であると思う。ボルトのすぐ側を通るのに、ボルトは使用禁止というのは、ある意味窮屈かもしれないが、そこは日本のエイドルートだということで割りきって欲しい。再登にあたっては、エイドクライミングのルールにのっとって臨んでほしい。

 

 また、それなりに時間がかかると思われるので、ビバーク装備の準備はしておいた方が良いと思う。パーティによってはポータレッジが必要である。なお、ルート中テラスは、1P目終了点の大テラス以外ない。後の終了点は全てハンギングである。他に可能性があるのは、2P目終了点の左の草付、6P目の水平クラックに入るところのすぐ上にあるテラス(っぽいところ)、6P目終了点から10mほど懸垂したところにある快適なテラス(ゾディアックのピーナツレッジっぽい)辺りである。

 

 我々は実力不足から、コパーヘッドを大量に使用してしまった。また、打ち方も丁寧とは言い難く、非常に反省するところである。冒頭にも書いたが、必要なければ引っこ抜いてもらって構わない。コパーやピトンは結局岩を傷つけることになる。コパーを残置するか否かも色々考えたが、もっとうまい人にコパーを使わず登ってほしい、というのはわがままだろうか。

 

−使用ギア−

ナッツ2セット、エイリアン{黒〜黄}1{赤}2、キャメロット{#.75〜#2}2{#3〜#4}1、オフセットフレンズ1セット(なくてもよい)、ヌンチャク7、フリービナ30、安環付ビナ4、タイオフ用シュリンゲ12、ナイフブレード6、ロストアロー4、アングル3、フック各種、バードビーク2、ラープ2(これらはもう少しあった方がよい←使い回しした)、コパーヘッド各サイズ3〜4、11mm50mロープ2、9mm50mロープ2、ビレイシート、リングボルト2、RCCボルト1、その他基本装備

 

残置は、5P目終了点にリングボルト1本、6P目終了点にRCCボルト1本とリングボルト1本、3P目6P目7P目途中にコパーヘッド計5本、7P目途中にナイフブレード1本(これは暗くて見落とした。すぐ抜けると思う)。なお、5P目終了点の支点はあまり良いとはいえない。補強するなり打ち替えるなりは再登するパーティの判断にお任せする。

 

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