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――穴毛谷五の沢単独遡行――

1985.9.1

(前日 曇り時々曇り)

 

いまにも降り出しそうな空であったので,行くか行くまいか迷いに迷ったあげく,夕方家を出た。天気図を見ると,台風がいくつも南の方に頭を出しているが,日本海側はまだ大丈夫だろうと,楽観的に考えることにして出てきた。向かう北アルプスは暗い雲にすっぽり包まれ,気が重くなってくる。

 

帰ろうかなー

帰ったら明日は家でのんびりできるなー

いや,ここまで来たらガソリン代がもったいない(我が家の家訓は「もったいない」なのだ)

などと考えごとをしながら,やがて,新穂高に着く。

 

車の中でローソクをともしながらスーパーで買った鳥の足をかじって,酒を飲む。胸がつかえたようで,味がわからなかった。すぐ横になったけど,なかなか寝付かれず,車の外に出て,曇り空を見たり,少し体操したり,ラジオをつけたりする。そのうちに,ちらちらと星が見えたので,少し気が楽になり,やがて浅い眠りにひきこまれた。

 

(9月1日 曇りのち雨)

穴毛谷の開けた河原をゆくと,右上のがけに真っ暗でびっくりするほど大きい穴が見えた。「アリババと30人?の盗賊」に出てくるようなでかい穴。これが穴毛谷の由来であるそうな。左前方には岩壁の上から大滝が小便のように落ちている。「ここが五の沢の取り付きだ。」雨が強くなってくる。穂高の方からガスが昇ってくる。見上げる五ノ沢も白くかすんで上部はガスの中である。

 

カッパを着て,雨の中を登り出す。沢の水量はまだ少ない。30分ほど歩きやすい沢を登ると,ひとつ目の滝があり案外大きく水が流れていて直登できず左から巻く。草付きが不安定で冷や汗をかいてしまった。これでふっきれ後は大小10個ほどの滝も順調にフリーソロで攀じって(ゴルジュに入って3つ目の滝が4級くらい。ハーケンもあった。水が流れていたので少々やっかいだった。ゴルジュの最後には14m滝があるが,これは3級の左壁から。),播隆平を経て2時間弱で稜線へ抜けた。

 

笠の小屋にザックを置かせてもらいピークを踏んでくる。笠ヶ岳まで新穂高から4時間弱。ガスで何も見えなかったけれど,ケルンのいっぱいある頂上でバンザイ三唱をして下る。小屋ではストーブを焚いてもらい休憩する。

 

外は台風の影響か,雨と風が強くなってきた。小屋の人が4時間で登ってきたのに感心して(この時、飛騨山岳会の瀬木先生に間違われた),

「どちらの会の方ですか。」

と言うので,

「岐阜登高会です。」

と言い残し,風雨の中,颯爽と出発した。

足取りも軽く,鼻歌まじりで笠新道を下る。お昼に新穂高に着く。夕方には家に着いてビールで乾杯した。

 

「案ずるより生むがやすし」考えているより,行くことがだいじである。今回の山行でそう思った。

 

 

新穂高530  穴毛谷 五の沢  笠ヶ岳9:20  笠新道 新穂高1250

 

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