笠ヶ岳穴毛谷四ノ沢左俣Bルンゼ〜抜戸岳東尾根下降

1989.4.22  小林 亘  遠藤由加  石際 淳

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西穂高から穴毛谷を眺めるとき,2本の急峻なルンゼに挟まれた岩稜が目を引く。四ノ沢第1岩稜である。そして右のルンゼがBルンゼ。正面から見ると完全なダブルアックスの登攀になりそうに見えるが,実際には傾斜はそれほどでもなく,ピエトロワジェームで登れる。稜線のロールケーキの化け物のような雪庇の崩壊と雪崩れの危険に曝されながら全力で駆け上らなければならないロシアンルーレットのようなルンゼである。

 ニノ沢出合上からすごいデブリの上を行く,私は腹の具合が悪く,汚い話であるが出発前にお漏らしをしてしまったのでノーパンでフラフラ(ブラブラではない)しながら小林と遠藤について行く。第1岩稜末端で大休止。ここで引き返すことも考えたが,覚悟をきめてルンゼに入る。小さい雪崩れが時々来る。遠藤はとことこと登るのが早い。途中で休みたくなるが,上のバームクーヘンのお化けのような雪庇の崩壊が怖いので必死に登る。上部で右俣にルートを取り安全地帯に入ってすぐ,稜線のバームクーヘンの一部が崩れ轟音とともにさっきまでいたルンゼを流れて行った。 (冷や汗)
このルートはやはり朝一番で駆け登るべきルートであった。

 稜線に出てからはのんびり(といってもかなりのスピードだったと思うが)笠ヶ岳に向かう。途中で遠藤がエネルギーの出るゼリーのような食べ物を吸っているのを見る。今ではポピュラーになったエネルギー補給飲料だが,初めて見た私はやっぱヒマラヤニストは食うもんも違うなと感心した。抜戸岳まで縦走し東尾根のやせ尾根を下降する。こういう場面では小林の力はすばらしい。複雑な雪稜をうまくルートファインディングしてノーロープでわさび平まで下る。林道に出ると雨が降り出し,車止めまでにずぶ濡れになってしまった。おまけにノーパンで歩いたので袋が擦れて非常に痛かった。高山で「東山」のそばを食って帰った。次の日風邪でダウン。

車止め7:30 第1岩稜末端10:30 稜線12:30 笠ヶ岳13:30 車止め18:30

 

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