笠ヶ岳穴毛谷二ノ沢中央壁「雨ニモマケズ・・・」開拓

1988..5.3〜4  小林 亘  石際 淳

 

ニノ沢出合を出発したのが9時30分と遅く,取付きが昼になってしまった。本谷から壁をめざして,雪壁を登っていき,外傾したバンドでロープを結ぶ。


 1ピッチ目,スレート状の岩が脆く,左上していくと二本のボルト連打がありこれを登るが,その上はルーズなフレークにハーケンを差し込んだり,スモールストッパーを使ったりの悪いA1となる。2ピッチ目は快適なリッジクライム。3ピッチ目は草付きのルンゼ状を右上する。このあたりから岩に雪がついてくる。4ピッチ目,雪のつまったルンゼをフラットソールでキックステップしながらチムニーの下に達する。チムニーは水が流れているので右壁の凹角をフレンズとハーケンのA0で登り,ダケカンバのテラスに出る。


 この時点で17時を過ぎてしまったので,上部岩壁はあきらめ,雪壁帯をトラバースする。雪はみぞれに変わり,雪壁3ピッチ目あたりから暗くなる。本谷のコルの雪庇の左端をダブルアックスで登り21時終了。
 みぞれと横風の中クリヤの頭まで歩き22時ビバーク。翌日7時,クリヤ谷を下降,11時槍見着。

ルートは1ピッチ目を除き容易で,錫杖岳1ルンゼの感じに似ている。また,上部岩壁(2〜3ピッチ)にはきれいなクラックやルンゼがいくつかあり,これにつなげて登ればより充実するだろう。
 使用ギアはフレンズ0.5〜3番,ロックス1セット,ハーケン各種7本(すべて回収)。上部雪壁はかなり急だが,岩壁とのコンタクトラインなのでハーケンやナッツでプロテクションがとれる。

 

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