白山山系奥三方岳周辺集中山スキー

2001.4.28〜30  石際 淳  河島建蔵

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白山山系の岐阜県側にある三方崩山は大阪の加藤氏による大ノマ谷,当会による弓ヶ洞等の紹介で少しは知られてきていますが,そのすぐ西となり,奥三方岳に関しては,一見して山スキーに最適なその山容にもかかわらずあまり山スキーのフィールドとして知られていないようです(私の情報収集不足だけかも)。

 

この連休を利用し奥三方にベースを置きこの山の周辺を滑ってみました。四ノ又谷,五ノ又谷(仮称),奥原谷,奥三方西面と4本滑りましたが,どれも滑りごたえのあるラインでした。以下行動の概要を記します。

 

1日目(快晴)

大白川林道を30分ほど歩き大ノマ谷出合。歩きにくいガレとブッシュを登り,雪渓末端からシール登高。この時期,デブリはかなり溶け,スムーズにはなっているが,荒れたあまり滑りたくない斜面である。傾斜が強くなるあたりで河島君はツボ足にかえる。石際はシール登行でとおす。荒れた斜面ではツボ足のほうが早かった。無風快晴のため暑い。

 

三方崩から奥三方へのコルへ滑り込む。標高差100mほどであるが,気持ちいい斜面に2本のシュプールを並べて描く。若い河島君の方が元気のいい滑りみたい。吹きさらしのコルには雪洞を掘れるほど雪がないので,奥三方へ100mほど登った斜面に雪洞を掘る。今日,四ノ又谷を1本滑る予定のため,休む間もなく掘り進み,モミ等のブッシュで少々床がでこぼこになってしまったけど,立膝ができるほどのねぐら完成。疲れた。

 

早速、四ノ又谷を滑りに行く。四ノ又谷源頭はボール状に白い斜面が広がりどこでも滑れそう。2100m付近から滑降開始。すばらしい斜面にウエーデルンをきめ谷底に入る。1650mの二又まで滑る。ここから下流はしばらくのんびりした谷のようである。登り返し,雪洞に戻る。1日フルに行動した。バーボンがうまい。

大白川林道ゲート6:45 大ノマ谷出合7:20 雪渓末端8:00 三方崩山12:15 奥三方岳東面H2070m付近  雪洞掘る14:00〜15:30 発15:45 四ノ又谷滑降 1650m付近まで 雪洞17:45

 

2日目(晴れのち雨)

四ノ又谷は下流で割れていそうなので,奥三方から北西に入っている谷,五ノ又谷(仮称)を奥原谷まで滑ることにする。奥三方までトラーゲン。坊主頭のような奥三方のピークは黄砂のためベージュ色。今日の目的地,間名古の頭はえらく遠くに見える。滑降予定の奥原谷源頭 をよく観察する。気合の入るなかなかの斜面に見える。


 奥三方から北斜面に飛び込むと白い美しい斜面。朝一番のためほとんどシュプールがつかないほどのハードバーンになっている。35°はある緊張感のある斜面が200mほど続く。谷底に下りてからは日の当たる所を選んで滑る。 少しうねりがあるがデブリもなく,気分よく滑降を続け,1400m付近のゴルジュへ突入 。一ヶ所新しいデブリがあり,滝場と思われる所は少し割れていただけで問題なく通過できた。奥原谷が近づくと水流が出始め,左岸を滑り出合へ無事到着。ヤッターと二人で歓声をあげる。1000mの素晴らしい滑降でした。


 ここからのんびりとシール登行で奥原谷を詰める。2ヶ所ほどゴルジュ場の滝場があるが,なんとかつながっており問題なく通過。1300mからは広くなった谷をだらだら登る。谷が右に折れると少し傾斜を増す。1800m付近にインゼルがあり右からシール登行。左はルンゼ状である。正面のコル経由で間名古の頭まで登る。インゼルから上は谷が開け、スキー向きの素晴らしい斜面が広がる。

 

天気は下り坂。早速滑降に移る。インゼル横のルンゼ状をジャンプターンでこなし核心部終了。左岸の岩場から水が流れており,水を汲んで休憩。1470mまでぶっ飛ばし,ここから右の谷を登る。300m登ると広い尾根に出てこれを奥三方へ向かう。小雨が降り出し,風も出始める。アップダウンのある尾根は思ったより時間がかかり、2人ともなんとか雪洞に戻ることだけ考え黙々と歩く。

 

下山ルートに予定していた奥三方西面は恐ろしく急なルンゼ状となっているので,明日滑降できるのはコルからのライン(ここもすぐに落ち込み,下部は確認できない)とわかる。コルから200mの登りはガス欠になりそうであった。奥三方からスキーを着け,ガスがかかり風雨の中,北斜面をひたすらトラバースして雪洞に到着。熱いスープを飲み、生き返る。雨で濡れた靴や衣服は雪洞では乾かず,濡れたままシュラフに入り震えながら寝る。入口のツエルトを叩く雨音を聞きながらも結構寝れた。

雪洞6:40 奥三方岳7:15 五ノ又谷出合8:30 間名古の頭12:40 発13:00 H1480m滑降終了13:24 稜線14:43 奥三方岳17:30 雪洞18:00

 

3日目(小雨のち晴れ)

朝,濡れたシュラフから出ると,昨夜の雨で壁に穴が開いている。ゆっくり支度をして霧雨のなかベースを出る。奥三方に着くころにはガスが上がり,周辺の山がくっきり見え始める。コルまではかなり急な疎林の滑降。雨を吸い込んだ重荷のため慎重に下る。コルから覗く奥三方西壁(と呼んでもよいだろう)は抜戸の秩父沢を思わせる岩峰に囲まれアルペンムード満点。足元の斜面は少し先から急になり先が見えない。


 さあ滑降開始。少し下ると,谷の全容が見えた。ひぇ〜!35°以上の一枚バーンが300m,左のルンゼからの斜面との合流点までずっと続いている。中間部には露岩も見える。これは絶対失敗できない斜面である。慎重にチェックを入れ,ジャンプターンを繰り返す。合流点に着いたときはほっとした。合流点からは西壁ルンゼからの落石が散乱し,雪もでこぼこがあり滑りにくい。間名古谷に近づくとブッシュと雪が少ないのとで苦労して下る。滑降をあきらめたところが林道のすぐ上であった。


 石川の青島さんの記録もあったので間名古谷林道はスムーズに下れるかと思っていたが,廃道になってから長いのか,ブッシュのため思うようにスピードでず,途中から滑降も不能となり,ツボ足で蔓と格闘しながら下る。大白川林道に出でてからはのんびり山菜を採りながらゲートまで歩く。二人とも重荷と靴擦れでボロボロになり,平瀬の温泉に入るのがつらかった。

雪洞9:00 奥三方岳9:45 コル10:20 発10:35 間名古谷林道橋11:20 大白川林道13:00 ゲート15:30

 

 

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