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錫杖岳白壁カンテルート
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ルート :錫杖岳前衛壁白壁カンテルート ルート図
日 時 :平成18年1月21日〜22日
メンバー:船山 和志(順天堂大学医学部山岳部/東京YCC)
     朝岡 隆(東京YCC)

 錫杖岳は良い山である。明るい山である。肩を痛め、満足なクライミングが出来ない私が、 順天堂大学医学部山岳部の後輩たちと訪れたのは初夏の錫杖岳だった。タラの芽、コシアブラやカンゾウなど、 手当たりしだいに獲ってきた山の幸に、岩小屋の下で山の喜びを満喫していた。そのとき登ったルートは白壁ルート。 本チャン初めての後輩は何事にも喜び、それを見ている私もとても楽しくなった。そんな楽しいクライミングの途中、 ふと見上げたのが白壁カンテルートのラインだった。

 白壁カンテルートの記述は登山体系にその存在が示されているだけである。しかし、以前にヨセミテでお会いした 同人カルパッチョの羽矢さんの登攀記録では、なかなか楽しそうな記述であった。羽矢さんの人柄をご存知の方なら お分かりと思うが、その記録の素直な記述を読むうちに、いつしかだんだんと登ってみたいという欲求が湧き上がるの を感じた。また、私が調べた範囲では冬の記録が見当たらないのもさらに憧れを増すものとなった。

 私は柄に合わないフリークライミングで肩を痛め、いわゆる冬の本チャンから2年近く遠ざかっていた。良くなったか と思い、登ってみると激痛に襲われ、ふがいない自分に情けなくなった。肩のことを考えれば、更なる休養が必要なのは 十分に理解できる。しかし冬が近づくにつれ、どうしようもない欲求が沸き起こってくるのを感じた。

 正月はなるべく肩に負担がかからない山行という事で、東京YCCの仲間と剣岳に向かった。雪の多さや天候から結局 早月尾根になってしまったが、毎日テントの中は楽しく、うまいものを食い、飲み、山のすばらしさを満喫した。そんな 経験をする中で、さらに冬のクライミングをしてみたい欲求が高まっていった。

 年明けから幾度と無く錫杖行きの計画を立てるも天気が悪く、断念する。そんな中、とうとう錫杖の天気が良さそうな 週末が訪れた。パートナーは気心知れた朝岡さん。平日のうちからはやる気持ちが高鳴ってくる。

1月20日(金曜日)
 いつもどおり相模原で朝岡さんを拾って一路新穂高まで。運転は長く、とても眠い! 新穂高温泉の駐車場ではクライマーらしき車が泊まっている。車のそばにテントを張り就寝。寒い!

1月21日(土曜日)
 朝とても眠く、朝の弱い我々はついつい2度寝、3度寝とだらだらしてしまう。ふと見ると僕の車の出口をふさぐように 車が停めてある。ふざけんな!と思うが後でわかったことだが同じYCCの一村達だった。天気はなかなかの天気。アプ ローチは雪も締まり、まるで3月の様。途中アプローチから見慣れない氷柱が本峰中央稜の左に掛かっていた。遠くから でも見栄えも良く、なかなか良い感じだ。こんどはここを登ろう! 取り付き付近に着いたのは昼をまわっていた。

1P目30m WA1(船山)
白壁ルートの取り付きであるランペは雪でだいぶ埋まり、ランペ途中の木の付近まで埋まっている。 白壁カンテルートの取り付きはいろいろあるのかもしれないが、このランペ途中の木からクライミングを始める。 ランペを少しのぼり、右をワイドクラックのフリーでいけそうなフレークを、ピンに導かれるままに左へ渡り、そこから人工。 いったんテラスに出、もろそうな凹角を登り、下降シュリンゲの巻いてある木でビレイ。

2P目15m W(朝岡)
雪のついた悪いフリーで残置シュリンゲの巻いてある木まで。この日は英気を養うべしとのことで、早々にテントへ下降。 丁寧に整地したため非常に快適!ラジオでは栃東の活躍を伝えていた。明日の朝青龍戦が楽しみだ。夜、雪が降り始める。

1月22日
朝起きると雪が舞う中、空には晴れ間が所々見える。なんだかやる気が沸いてくる!

3P目25m W(朝岡)
ビレー点の木からいったん左の凹角状のところを登り、右へ左へ厄介なフリー。箱型ハング下のハーケンで出来たビレイ点に出る。



4P目35m AA1 W(船山)
箱型ハングの右へ向かって登った後、ハング左端に見えるボルト目指してトラバース。そこからボルトと少々のエイドで直上。 カルパッチョの羽矢さんの記録にあるチーターランジが必要なシュリンゲの下には真新しいリングボルトが打たれており、 簡単に達することが出来た。その他にところどころ新しいボルトが散見された。 ロープシュリンゲの垂れたボルトを越えるときれいなランペに出る。 ここは岩も硬く、ナッツやスモールカムが良く決まり、非常に気持ちが良い! ランペが終わるとボルト4本とハーケンの打たれたビレイ点に着く。大変良い天気で焼岳がきれいに見える。

5P目25m(朝岡)
このピッチは白壁カンテルートのハイライト!前傾した白壁カンテに連打されたボルトをたどり、登って行く。 以前白壁ルートを夏に登ったとき、白壁カンテルートのラインを面白そうだと見ていたが、まさに高度感抜群で見栄えがするラインである。 ボルトに残置シュリンゲがたくさんかかったビレイ点に出る。 そのころには急に天気が悪化し、いつの間にか吹雪になっていた。



6P目20m(船山)
ビレイ点から見上げると壁の傾斜は落ち、ブッシュ帯も見え、ルートも終盤という感じ。 出だしから単純な人工なのだが、アブミが風に舞い、ひっくり返って頭にガツンガツンあたってくる。 まあ逆立ちしないだけましか。人工からブッシュに移り、コルに出て終了。

下降は同ルート下降とする。折からの嵐の中、毎日の遅出がたたってか、暗闇の中の下降となる。 5P目の下降では、ロープが風で真横に流され、一本のロープが岩に引っかかって切断するはめになってしまった。 以後は25m下降になる。その為、ルートの所々残置シュリンゲと残置カラビナを残してしまった。 帰りは行きと違って猛烈なラッセルで新穂高へと下った。

白壁カンテ全景


 肩を壊して以来、ほぼ2年ぶりの冬壁であったが、いいルートで楽しめてよかった。朝岡さんに感謝。白壁カンテルートはあまり 一般的に知られていないルートだ。白壁付近はもろいからあまり一般的ではないのかと思っていたが、そんなことは全然無く、岩も硬く、 特に上部は高度感もあり、良いルートだと思う。下から見上げてみても前衛壁の中でもひときわ目立つ存在である。夏冬ともに、もっと 登られてよいルートだと思った。