――最後の山行――

 

平成17年8月7日 

メンバー 石際,加藤,澤田  ルート図

 

8月末でタイへ赴任する加藤さんと最後のクライミングに行った。目指すは錫杖1ルンゼから,いつも下を通るだけで加藤さんが登ったことのない烏帽子岩。今日は,アルパインのリードを初めてやるみっちゃんも入れて3人のドッペル(ダブルロープでリードしフォローの2人はそれぞれのロープで確保されるシステム)だ。

 

錫杖沢の岩小屋で富士居さん,松熊さんのレリーフにお参りした後,時間短縮のためちょんぼバンドからF2上に上がる。みっちゃんはドッペルなのでかなり苦労するかと思ったが,フリーでリードする力が十分あるので,ポイントを指示するだけで危なげないリードをしてくれた。

 

上部のA1のピッチは左の凹角からフリーで抜けるバイパスラインを取る。ラインとしてはこちらの方が自然で弱点をついているので,自分としては好みである。開拓者は人工登攀の練習がしたかったのかな?

彼女もルンゼの抜けのピッチではさすがに疲れが出たみたい。大の男でもダブルロープを全ピッチ手繰るのは易しいことではない。

 

最後は前衛フェース頭の気持ちのいい草原に出て終了。遅い昼食を食べた後,烏帽子岩に向かう。

 

東肩に着いて,昔登った記憶を辿ろうとするが全然思い出せない。ルート図とにらめっこしているうちに雷が鳴り出した。加藤さんも行きたそうだし,行けるところまで登るという考えも頭をかすめたが,最後に事故を起こしてもしかたがないので,本日のクライミングはここまでとした。3人でそれぞれ握手を交わし,またここに来ることを約束した。

 

雨も降り出したので横断バンドの大きな岩小屋へ逃げ込む。

すぐに激しい雷雨となる。

岩に腰掛け雨宿りをしながら,錫杖の景色をぼんやり眺める。

 

北沢大滝から湧き上がってくる霧

近づいて,徐々に場所を変えていく雷鳴

ガスの中から順番に姿を現す三本槍

1本の滝のようになったルンゼ

空が明るくなってもスコールのように降る雨

 

やがて雨が上がり,3人はこの懐かしい場所を後にした。

 

西肩から見わたすクリヤ谷は雨に洗われてすがすがしい感じがした。

 

 

槍見7:00 1ルンゼF2上9:30 終了13:30 東肩14:00 岩小屋15:40 クリヤ谷16:30 槍見17:30

 

 

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